社会学者の視点から、HAE患者さんが抱える目に見えない苦悩を解き明かし、一人で抱え込まずに周囲と「話し合う」ことの重要性と、そのための具体的なヒントが示されました。
医療者は「治療効果や検査数値の改善」という医学的観点を中心に物事を捉えがちですが、一方で患者は「家族、仕事、趣味といった日々の生活」を基盤に自身の状態を考えます。例えば、発作回数が減っても「いつ発作が起きるか」という不安が常に付きまとうなら、患者にとっての生活の質は十分に改善されたとは言えません。この視点の「ズレ」を認識し、対話を通じて両者の視点を融合させることが、真に質の高い医療の実現に繋がります。
医療従事者は、患者が病院の外で人知れず行っている「日常生活の困難(家事や育児など)」や、病によって変化を余儀なくされた「人生設計の再構築」といった目に見えない苦労を全て把握することは困難です。だからこそ、患者側からその状況を伝えることが重要になります。
不安や悩みは、頭の中で漠然と考えているだけでは整理されません。それを言葉にして「話す」、あるいはノートに「書き出す」という行為を通じて、初めて自分の本当の気持ちや求めていることが明確になり、精神的な負担も軽くなります。
診察という限られた時間で的確に伝えるため、事前に以下の点を書き出して準備することが推奨されました。これは、対話をより建設的にするための道しるべとなります。
説明を聞いて理解したつもりでも、後から疑問が湧くことは多々あります。自分の言葉で復唱してみるなど、本当に理解できたか問い直すことが大切です。
「遺伝のこと」「将来の仕事のこと」など、漠然とした不安を具体的な言葉にすることで、対処法を考える第一歩になります。
治療そのものだけでなく、治療が自分の生活にどう影響するのか、長期的な視点での情報を求めることも重要です。
自分の生活信条や価値観に照らし、治療のためであっても「これだけは譲れない・したくない」という点を明確にすることは、自分自身を大切にすることに繋がります。
病気という大きなストレス下で、常に冷静かつ正確な判断を下すのは困難です。周囲の人々、特に医療者は、患者が安心して迷い、時には誤解してもそれを修正しながら共に歩んでいけるような、心理的に安全なケア(伴走的な支援)を提供することの重要性が述べられました。
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