主治医とともに歩むHAE パネルディスカッション
ライフイベントでの向き合い方と医師や周囲との関係構築について
HAEJの松山様の進行のもと、より実践的なテーマについて、登壇者それぞれの立場から具体的な議論が交わされました。以下に、主要なトピックごとの議論の要点をまとめます。
「ライフイベント(進学・就職・出産・歯科治療)」とどう向き合うか
学校・職場との連携と社会的サポート
学校や職場には、診断書などを通じて病状を正確に伝え、必要な配慮を求めることが大切です。「合理的配慮の義務化」により、社会全体で支える基盤が整ってきています。どこに相談すればよいか分からない場合は、各都道府県に設置されている「難病相談支援センター」が最初の窓口として有効です。
出産に際しての医療連携
出産は体に大きな負担がかかり、発作のリスクがあるため、産婦人科医とHAEの主治医が緊密に連携できる体制の整った病院での対応が望まれます。短期発作発症抑制治療を行うかどうかなど、事前に綿密な出産計画を立てることが、母子の安全を守る上で極めて重要です。
歯科治療における注意点
抜歯などの歯科治療も発作の誘因となりうるため、短期発作発症抑制治療の実施を主治医と相談することが推奨されました。かかりつけの歯科医とHAEの主治医が連携し、安全な環境で治療を受けられるよう準備することの重要性が確認されました。
医師や周囲とより良い関係を築くには
「パートナー」としての対等な関係性
医師と患者が、お互いに情報を隠さず、遠慮せず、素直に話し合える「パートナー」としての関係性が理想です。医師が患者の話にじっくり耳を傾ける雰囲気作りを心がけているように、患者と医師が共同で治療目標に向かっていく意識が大切です。
患者側からの主体的な準備の有効性
診察時間が限られている中で、聞きたいことや伝えたいことを忘れないようにメモにまとめておくといった患者側からの準備は、コミュニケーションの質を高める上で非常に有効であることが共有されました。
発作のコントロールと日常生活での工夫
治療目標「発作ゼロ」と油断への戒め
長期発作発症抑制薬の登場により、発作を経験しない「発作ゼロ」の状態は現実的な治療目標となっています。しかし、発作発症抑制治療が100%保証されるわけではないため、いつ起こるかわからない「ブレイクスルー発作」に備え、発作時の薬を必ず携帯するなど、常に「万が一」を想定しておく心構えが重要だと改めて確認されました。
発作記録の重要性と記録方法
発作の客観的データ(いつ、どこが等)に加え、「そのせいで仕事や学校を休んだ」といった生活への具体的な影響を併せて記録することが、治療方針の決定に極めて有用であることが強調されました。ツールはアプリでも手書きでも構わないとされました。
体調変化の要因との付き合い方
季節の変わり目や、女性の更年期といったホルモンバランスの変化が発作に影響する可能性は指摘されるものの、その現れ方は個人差が非常に大きいことが共有されました。画一的な対策はなく、自身の体調パターンを把握し、主治医と共有することが重要です。
- 松山真樹子(まつやま まきこ)さん
- NPO法人HAEJ(HAE患者会) 理事長
- HAEの患者・家族を支援するNPO法人「HAEJ」の理事長。ご自身もHAEの子どもを持つ母親として、多くの患者さんやご家族と交流を重ねてこられました。学校や職場への伝え方、治療との向き合い方など、実体験から語られる言葉は、具体的で説得力があります。同じ悩みや不安を知る当事者だからこそ語れる、日々の生活の工夫や前向きに生きるためのヒントは、あなたの心を温かく照らしてくれるはずです。
- 本田 大介(ほんだ だいすけ)先生
- 千葉大学大学院医学研究院 腎臓内科学 講師
- 千葉大学でHAE患者さんの診療と研究に日々尽力されている専門医。HAEの基本的な知識から、格段に進歩した最新の治療法まで、わかりやすく解説します。「治療のゴールは、病気のない人と同じ生活を送ること」という力強いメッセージのもと、患者さん一人ひとりの声に耳を傾け、共に「発作ゼロ」を目指す温かい診療が信頼を集めています。患者会(HAEJ)のサポート医でもあります。
- 松繁卓哉(まつしげ たくや)先生
- 追手門学院大学 社会学部 教授
- 追手門学院大学で教鞭をとる、医療社会学の専門家。長年にわたり、難病と共に生きる人々の支援現場を研究されてきました。病気のつらさは、体の症状だけではありません。先生は、患者さんが抱える「見えない不安」や「生活の中の困りごと」に社会学の視点から光を当て、その気持ちを整理し、医師や周囲の人に上手に伝えるための具体的なヒントを教えてくれます。「堂々と迷っていい」という温かいメッセージは、多くの人の心を軽くしてくれるでしょう。
-
- HAEと歩む 本田先生講演
- HAEの基礎知識から新治療まで専門医が解説。予測できない症状への不安も正しい知識で軽減し、治療選択肢の増加で発作のない穏やかな生活を目指す方法を紹介します。
-
- HAEを話し合う 松繁先生講演
- 医療者と患者の視点の違いによる伝達の悩みを解決。社会学者が心のモヤモヤを言葉にするヒントと4つの質問で気持ちを整理する方法を紹介します。
-
- HAEと歩む 本田先生講演
- HAEの基礎知識から新治療まで専門医が解説。予測できない症状への不安も正しい知識で軽減し、治療選択肢の増加で発作のない穏やかな生活を目指す方法を紹介します。
-
- HAEを話し合う 松繁先生講演
- 医療者と患者の視点の違いによる伝達の悩みを解決。社会学者が心のモヤモヤを言葉にするヒントと4つの質問で気持ちを整理する方法を紹介します。