HAEと診断された皆様へ
HAE患者さんが利用できる主な医療費助成制度は主に3つあります。
「高額療養費制度」は、HAEの治療において指定難病医療費助成制度もしくは小児慢性特定疾病医療費助成制度を受けていない場合に利用できる制度です(その他の医療費の総額が高額となる場合は両方とも利用可能)。
HAEは「指定難病」と「小児慢性特定疾病」に指定されています(指定難病では、HAEは「原発性免疫不全症候群」に該当します)。
高額療養費制度
HAEの治療に限らず、1か月間に医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定額を超えた場合に、超えた金額の払い戻しを受けられる制度です。自己負担の上限額は年齢や所得に応じて決まります。
申請の手続きは、年齢や所得、加入している医療保険(国民健康保険、共済組合など)などによって異なります。
また、診療を受けた月の翌月の1日から、2年間さかのぼって申請することが可能です。
限度額適用認定証の利用について
医療費の支払いが高額になる場合、「限度額適用認定証」を医療機関や薬局の窓口に提示することで、自己負担上限額を超える分を窓口で支払う必要はなくなります。限度額適用認定証は、事前に加入する医療保険などに申請を行い、交付を受ける必要があります。限度額認定証の有効期限は、申請月の1日から最長で1年間です。
※マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関では、「限度額適用認定証」がなくても、限度額を超える支払いが免除されます。(情報提供に係る同意が必要です)
※70歳以上の方は、所得区分によっては限度額適用認定証は不要となります。70~74歳の方は、健康保険証と「高齢受給者証」を、75歳以上の方は「後期高齢者医療被保険者証」を窓口に提示してください。
「世帯合算」での高額療養費制度
おひとり1か月分の窓口負担では上限額を超えない場合でも、同じ医療保険に加入している同一世帯の方の受診について、窓口でそれぞれ支払った自己負担額を1か月単位で合算することができます。その合算額が一定額を超えた場合、超えた分が高額療養費として支給されます。
※ ただし、69歳以下の方の受診については、2万1千円以上の自己負担のみ合算されます。
詳しくは、保険証に記載されている医療保険の窓口にお問い合わせください。
※高額療養費制度の詳細は、厚生労働省ホームページ(高額療養費制度を利用される皆さまへをご覧ください。)(2024年8月現在)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/
高額療養費制度(P19)参照
指定難病医療費助成制度
制度の対象となる方
難病指定医によりHAEと診断され、下記の①または②に該当する方が助成の対象になります。
①重症度分類※によりHAEの症状が中等症以上であると認定された患者さん
②重症度分類で中等症以上とは認められないが、HAE治療にかかわる月ごとの医療費の総額が33,330円を超える月が、年間に3回以上ある患者さん
※ 重症 :治療で、補充療法(阻害薬等の代替治療薬の投与を含む。)、G-CSF療法、除鉄剤の投与、抗凝固療法、ステロイド薬の投与、免疫抑制薬の投与、抗腫瘍薬の投与、再発予防法、感染症予防療法、造血幹細胞移植、腹膜透析、血液透析のうち、1つ以上を継続的に実施する(断続的な場合も含めて概ね6ヵ月以上)場合。
中等症 :上記治療が継続的には必要でない場合。
軽症 :上記治療が不要な場合。
自己負担上限額
指定難病医療費助成制度の対象となった患者さんは、外来・入院の区別なく、指定医療機関での医療費の自己負担割合が3割から2割に軽減されます。
また、毎月の自己負担上限額(所得に応じて2,500~30,000円)が設定されており、それ以上の医療費を負担することはありません。
階層区分 | 階層区分の基準 [( )内の数字は、夫婦2人世帯の 場合における年収の目安] | 自己負担上限額(外来+入院) (患者負担割合:2割) | |||
---|---|---|---|---|---|
一般 | 高額かつ 長期※ | ||||
人工呼吸器等 装着者 | |||||
生活保護 | ― | 0円 | 0円 | 0円 | |
低所得Ⅰ | 市町村民税 非課税 (世帯) | 本人年収 ~80万円 | 2,500円 | 2,500円 | 1,000円 |
低所得Ⅱ | 本人年収 80万円超~ | 5,000円 | 5,000円 | ||
一般所得Ⅰ | 市町村民税 課税以上7.1万円未満 (約160万円~約370万円) | 10,000円 | 5,000円 | ||
一般所得Ⅱ | 市町村民税 7.1万円以上25.1万円未満 (約370万円~約810万円) | 20,000円 | 10,000円 | ||
上位所得 | 市町村民税 25.1万円以上 (約810万円~) | 30,000円 | 20,000円 | ||
入院時の食費 | 全額自己負担 |
※:「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)。
難病情報センターホームページ(2024年8月現在)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460
指定難病医療費助成制度の申請の流れ
指定難病医療費の助成を受けるためには、必要書類をそろえて都道府県・指定都市に申請し、医療受給者証交付の審査を受けます。
必要書類
● 特定医療費の支給認定申請書、診断書
● 住民票、課税状況の確認書類(世帯全員分)
● 健康保険証の写し など
❶難病指定医を受診して、診断書の交付を受ける。
❷必要書類を都道府県・指定都市の窓口に提出し、審査を受ける。
❸承認(医療受給者証の交付)
手続きは都道府県・指定都市により異なる場合があります。詳しくは主治医または最寄りの保健所などにお問い合わせください。
難病指定医については、難病情報センターホームページで検索するか、お住まいの都道府県・指定都市の窓口にお問い合わせください。
難病情報センターホームページ(2024年8月現在)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5490
医療費助成の開始時期
医療費助成の開始日は申請日から遡って開始することが可能になりました。(2023年10月1日~)
①病状の程度が重症度分類に該当する方・・・申請日から遡り「重症度分類を満たしていることを診断した日」
②軽症高額該当者・・・申請日から遡り「軽症高額の基準を満たした日の翌日」
①②ともに遡りの期間は原則として申請日から1か月です。1か月以内に申請を行わなかったことについて、やむを得ない理由があるときは最長3か月まで延長されます。
難病情報センターホームページ(2024年8月現在)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460
指定難病医療費助成制度(P22〜23)参照
小児慢性特定疾病医療費助成制度
制度の対象となる方
18歳未満※で、小児慢性特定疾病指定医によりHAEと診断され、治療で補充療法が(断続的な場合も含めておおむね6か月以上)必要となる方が助成の対象になります。
※ただし、18歳到達時点において対象であり、かつ、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の方も対象となります。
自己負担上限額
小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となった患者さんは、毎月の自己負担上限額(世帯所得に応じて1,250~15,000円)が設定されており、それ以上の医療費を負担することはありません。
階層区分 | 年収の目安 (夫婦2人子ども1人世帯の場合) | 自己負担上限額 | |||
---|---|---|---|---|---|
一般 | 重症※ | 人工呼吸器等 装着者 | |||
Ⅰ | 生活保護等 | 0円 | |||
Ⅱ | 市町村民税 非課税 | 低所得Ⅰ (~約80万円) | 1,250円 | 500円 | |
Ⅲ | 低所得Ⅱ (~約200万円) | 2,500円 | |||
Ⅳ | 一般所得Ⅰ (市区町村民税 7.1万円未満、 ~約430万円) | 5,000円 | 2,500円 | ||
Ⅴ | 一般所得Ⅱ (市区町村民税 25.1万円未満、 ~約850万円) | 10,000円 | 5,000円 | ||
Ⅵ | 上位所得 (市区町村民税 25.1万円以上、 約850万円~) | 15,000円 | 10,000円 | ||
入院時の食費 | 1/2自己負担 |
※重症:①高額な医療費が長期的に継続する者(医療費総額が5万円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)、②現行の重症患者基準に適合するもの、のいずれかに該当。
小児慢性特定疾病情報センターホームページ(2024年8月現在)
https://www.shouman.jp/assist/expenses
小児慢性特定疾病医療費助成制度の申請の流れ
小児慢性特定疾病医療費の助成を受けるためには、必要書類をそろえて都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市の自治体窓口に申請し、医療受給者証交付の審査を受けます。
必要書類
● 小児慢性特定疾病医療費の支給認定申請書兼同意書
● 小児慢性特定疾病医療意見書
● 世帯調書
● 健康保険証の写し など
❶小児慢性特定疾病指定医を受診して、医療意見書の交付を受ける。
❷必要書類を都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市の窓口に提出し、審査を受ける。
❸承認(医療受給者証の交付)
手続きは都道府県・指定都市など自治体により異なる場合があります。詳しくは主治医または最寄りの保健所などにお問い合わせください。
小児慢性特定疾病指定医については、小児慢性特定疾病情報センターホームページで検索するか、お住まいの都道府県・指定都市など自治体の窓口にお問い合わせください。
小児慢性特定疾病情報センターホームページ(2024年6月現在)
https://www.shouman.jp/support/pref_list/
小児慢性特定疾病医療費の支給開始日について
小児慢性特定疾病医療費の支給開始日は申請日から「疾病の状態の程度を満たしていることを診断した日※等」へ遡ることが可能になりました。(2023年10月1日~)
※疾病の状態の程度を満たした日を確認するため、医療意見書に新たに「診断年月日」の欄を設け、指定医において、医療意見書に記載された内容を診断した日を記載します。
小児慢性特定疾病情報センターホームページ
https://www.shouman.jp/news/topics/153
小児慢性特定疾病医療費助成制度(P20〜21)参照